シャドーAIとは、経営者や管理担当が把握・承認していないAIツールを、従業員が業務で使っている状態のことです。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織編の3位に初選出され、その具体例としてシャドーAIが取り上げられています。情報セキュリティ10大脅威 2026|IPA
大企業だけの問題ではありません。数名の従業員を雇う個人事業主・小規模事業者でも、各自が個人の判断でAIツールを使い始めれば、経営者が把握しないまま情報漏洩や著作権のリスクが積み重なる可能性があります。
この記事では、シャドーAIの定義、放置すると起きる4つのリスク、自社の実態に気づく3つの確認方法、禁止に頼らない対策の考え方を解説します。生成AI全般のリスクを俯瞰したい場合は、生成AIのリスクと仕事での対策も参考にしてください。

取得資格
- SEO検定1級
- SEOマーケティングアドバイザー
2020年からブログを始めて、エンタメ系のジャンルは約1年で月間10,000PVほど。2021年にWebライターとして独立しSEOメディア運用ディレクターとして現在も活動中。田舎に戻りHP製作やSNS運用マーケティング支援なども対応。
シャドーAIとは|会社が把握していないAI利用のこと

シャドーAIの典型例は、従業員が会社の許可を得ずに、個人のアカウントでChatGPTなどの生成AIサービスへ業務データや資料を入力して作業することです。会社が契約していない無料AIツールで、資料の下書きや顧客対応の文章を作るケースもこれにあたります。
「シャドーIT」(会社が把握していない端末やクラウドサービスの業務利用)と同様に、シャドーAIでは利用中のサービス、入力された情報、共有設定などを管理側が確認できません。IPAは2026年版の解説書で、職場で正式なAIサービス利用がない場合などに、従業員が個人的に利用しているAIサービスを業務で使うケースをシャドーAIの例として挙げています。「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書[組織編]|IPA
シャドーAIで起きる4つのリスク

シャドーAIを放置すると、次の4つのリスクにつながります。
- 情報漏洩
- 誤情報の社外流出
- 著作権侵害
- セキュリティ脅威
情報漏洩
入力したデータの取り扱いは、生成AIサービスやプラン、設定によって異なります。会社が確認していないツールに顧客情報や取引条件を入力すれば、どの条件で保存・利用されるかを管理側が把握できないまま、情報漏洩につながるおそれがあります。
誤情報の社外流出
会社の確認フローを通さずに使われるシャドーAIでは、AIが生成した誤った情報が、レビューされないまま顧客や取引先へ送られてしまう可能性があります。
著作権侵害
AIが生成した文章や画像を確認しないまま成果物に使うと、既存の著作物との類似性や依拠性が問題になることがあります。著作権侵害にあたるかは個別の判断が必要なため、似ているという理由だけで断定せず、文化庁「AIと著作権について」などの公式情報を確認してください。
セキュリティ脅威
会社が管理していないAIツールや連携機能では、アクセス権限、共有範囲、保存先、セキュリティ更新の状況を管理側が確認できません。正体や提供元を確認できないツールを使えば、認証情報や業務データが意図しない相手へ渡るおそれもあります。
自社のシャドーAIに気づく3つの確認方法

高度な検知ツールがなくても、次の3つの方法で実態に近づけます。
- アンケート・ヒアリングで聞く
- 経費精算・請求書を確認する
- 成果物の作り方を聞く
アンケート・ヒアリングで聞く
「使っているAIツールを教えてください」と、責めるのではなく事実確認として尋ねてください。禁止を前提にした聞き方をすると、正直に答えてもらえなくなります。
経費精算・請求書を確認する
有料のAIサービスを個人で契約し、経費として申請しているケースがあります。経費精算や法人カードの明細を確認すると、会社として把握していなかった契約が見つかることがあります。
成果物の作り方を聞く
資料作成や顧客対応など、AIを使いやすい業務について、普段の作成手順を定期的に確認します。特定の従業員を疑う聞き方ではなく、「どの工程で、どのツールを使っているか」を業務改善の確認として尋ねてください。
シャドーAI対策は「禁止」ではなく「把握」から始める

シャドーAIが見つかったとき、理由や代替手段を示さずに禁止だけを伝えると、実態を把握しにくい状態が続く可能性があります。緊急性の高い利用は止めたうえで、通常は次の順序で整理してください。
- まず、誰が、どのツールを、何に使っているかを把握する
- 業務上のメリットと、確認できたリスクを整理する
- 使ってよいツールと入力してはいけない情報を、最低限のルールとして決める
必要な管理体制は、従業員数だけでなく、顧客情報や機密情報を扱う量、AIに任せる業務によって変わります。まずは経営者や管理担当が、使われているツールを定期的に確認する仕組みを作り、扱う情報に応じてルールや管理方法を追加してください。
シャドーAIに関するよくある質問

- 従業員がいない個人事業主にも関係がありますか?
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一般にシャドーAIは、組織が把握していない従業員のAI利用を指します。従業員がいない場合は同じ組織管理の問題ではありませんが、契約や設定を見直せるよう、自分が業務で使うAIツールを書き出しておくことは有効です。
- 無料のAIツールだけが対象ですか?
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料金の有無ではなく、組織が利用を把握・承認しているかで判断します。有料でも、個人契約のまま会社が知らずに業務利用されていればシャドーAIにあたります。
- AIの利用自体を禁止すべきですか?
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一律禁止が必要かは、扱う情報と業務上の影響によって異なります。まず利用実態を把握し、機密情報の入力や外部送信など、影響が大きい行為から制限してください。業務上使える場面がある場合は、承認するツールと利用範囲を決めます。
- 検知ツールを導入する必要がありますか?
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最初から専用ツールが必要とは限りません。アンケート、経費確認、業務手順の確認で利用実態を把握しきれない場合や、扱う情報の重要度が高い場合は、アクセス管理や利用状況を確認できる仕組みを検討してください。
まとめ|シャドーAIはまず「知る」ことから対策する

シャドーAIとは、会社が把握していないAIツールの業務利用のことで、情報漏洩、誤情報の流出、著作権侵害、セキュリティ脅威につながる可能性があります。数名の従業員を雇う小規模事業者にも無関係ではありません。
まずは、従業員が業務で使っているAIツールを書き出し、管理側と共有することから始めてください。従業員がいない場合も、自分が使うツールを一覧にします。実態を把握したうえで最低限のルールを決めることが、無理のない対策の第一歩になります。
