英国とアイルランドの中古書店で、テーマに一貫性のない本を数百冊から数千冊単位で求める注文が相次いでいます。注文者や最終用途が見えにくく、書店側ではAIの学習データを集める業者ではないかとの見方が広がりました。ただし、現在の注文を特定のAI企業へ結び付ける証拠は確認されていません。AI開発がウェブ上の文章だけでなく、未デジタル化の書籍を求める段階に進んだ可能性と、知識資源の保存をどう両立するかが論点です。
関連性のない本を大量指定
報道では、歴史、伝記、雑誌、翻訳書など関連性の薄い題名がまとめて指定され、複数の買い手が同じ配送先を使う例もありました。1店舗で約6,000冊の注文を受けたとの証言もあります。注文は正規の取引として行われていますが、買い手の実態や購入後の扱いは不透明です。
過去の書籍スキャンが疑念の背景
疑念の背景には、Anthropicが過去に大量の書籍を購入し、背を切ってスキャンした事実が裁判資料から判明したことがあります。同社は学習に公開データ、商用取得データ、自社生成データを使うと説明し、希少本や古書を購入・破壊する計画はないとしています。過去の事例は現在の注文者を示す証拠ではありません。
知識資源を残す取引ルールが課題
紙でしか残っていない本は、AIにとって人間が書いた高品質な文章を得られる一方、失われれば図書館や研究者が利用できません。書店や市場運営者には、買い手確認、希少性の判定、転売・裁断目的の説明など、新しい取引ルールが求められる可能性があります。 現段階では書店側の証言と状況証拠が中心です。「大量注文はすべてAI企業」「購入本は必ず破棄される」と断定せず、買い手や用途が確認された続報を待つ必要があります。