
理化学研究所などは10月7日、X線と近赤外光を組み合わせた顕微鏡『NIR-MAXWELL』を発表しました。摘出・固定したマウス脳で、透明化処理をせず深部の血管を観察した研究です。観察前の処理の手間や組織の変形を避けながら、血管のつながりを調べる基礎研究の選択肢が広がる可能性があります。
X線で光らせ、近赤外光を検出
理研、東京理科大学、藤田医科大学の共同研究グループは、X線を当てると近赤外光を出す蛍光体を使いました。蛍光体を混ぜた樹脂をマウスの脳血管に入れ、摘出・固定した試料を撮影しています。近赤外光は可視光より組織内で散乱されにくく、内部からの光を捉えやすい性質を利用しました。
同じ試料で観察深度を比較
同じ脳試料を同じ解析手順で比べた実験では、連続した血管を確認できた深さは可視光で300マイクロメートル、近赤外光で800マイクロメートルでした。この条件で約2.7倍の深さになったという結果で、あらゆる試料や装置で同じ倍率になることを示してはいません。
基礎研究の成果で診断法ではない
編集部の見方として、処理を減らして血管の立体構造を観察できれば、脳の構造や病気に伴う変化を調べる研究に役立つ可能性があります。研究グループは蛍光体や検出感度を改良し、観察範囲の拡大と撮影時間の短縮を目指しています。 生きた人の脳をそのまま撮影した実験や、診断法の実用化ではありません。論文は9月19日付で掲載され、今回の新しい情報は10月7日の研究機関による発表です。実験条件と今後の期待を分けて読むことが重要です。