
理化学研究所は10月14日、薄いシート状のX線で試料を観察し、内部の微粒子マーカーの位置を3次元で高精度に求めたと発表しました。短時間の露光で放射線損傷を抑えながら、細胞などの内部を調べる技術です。見える構造を増やす可能性がありますが、試料のあらゆる分子を直接見た成果ではありません。
薄いX線と粒子の発光を組み合わせる
SPring-8のX線を薄く整え、試料に入れた微粒子を光らせます。その光を横方向から観察し、深さを変えて得た画像から粒子の位置を計算します。研究では球形の試料で手法を確かめた後、ハムスターの卵巣細胞内でも粒子の分布を観察しました。
位置決定精度と構造の分解能は別
球形試料の検証では、粒子の位置決定精度は面内方向7ナノメートル、深さ方向2ナノメートルでした。この数字は粒子位置の推定精度で、細胞全体のあらゆる構造を同じ細かさで見分けられるという意味ではありません。測る対象と精度の定義を分けて読むことが重要です。
非破壊観察の用途は今後検証
編集部の見方として、観察のために試料を壊す負担や、照射による損傷を減らせれば、内部構造を調べる選択肢が広がります。生命科学だけでなく、加工中の工業製品などへの活用も期待されています。ただし、用途の拡大は今後の検証であり、製品検査へ直ちに広く導入できると決まったわけではありません。 今回見ているのは導入したマーカーの分布で、無標識で細胞の全情報を読める技術ではありません。放射線の影響が完全にゼロという意味でもありません。論文は10月12日付で掲載され、14日は理研の発表日です。先週の近赤外光を組み合わせた観察研究とは別の成果です。