
INPEXと住友大阪セメントは10月19日、大型船舶への搭載を目指すCO₂回収技術の実証試験開始を発表しました。回収したCO₂を炭酸カルシウムに変え、常温・常圧で運べる特性を使います。排出場所で回収するだけでなく、運搬と地下貯留までつなぐ構想で、実用化には全工程の成立が重要になります。
三鷹市の設備で実証を開始
両社は2023年8月から共同研究を進め、今回は東京都三鷹市の海上技術安全研究所に実証設備を設置しました。船に搭載した商用運転の開始ではなく、カルシウム化合物を繰り返し使うCa-Looping技術を設備で確かめる段階です。
CO₂と回収材料の流れをつなぐ
構想では、排出されたCO₂を捕捉して炭酸カルシウムを作り、貯留サイトへ運搬します。その後にCO₂を分離して地下へ貯留し、残ったカルシウム化合物を再び回収側へ戻します。常温・常圧で運べる点だけでなく、回収材料を循環させる仕組みが特徴です。
回収後の費用と負担も検証へ
編集部の見方として、船舶の脱炭素では、回収装置と港湾・輸送・貯留先を一体で考える必要があります。INPEXの分離回収や貯留の知見と、住友大阪セメントの炭酸塩化技術を組み合わせる狙いがあります。今後は各工程をつないだときの費用やエネルギー負担を確認できるかが、事業としての評価を左右します。 発表は実証開始であり、商用化の達成や船舶全体の排出削減効果を示したものではありません。回収量、材料の再利用、運搬や分解に必要なエネルギーを含む効果は別途検証が必要です。地下貯留までの将来構想と、現時点の試験範囲を分けて読むことが大切です。