クラウドストレージやファイル共有サービスは、複数人での資料共有や外部とのやり取りを便利にしてくれる一方で、「セキュリティは大丈夫なのか」という不安から、活用に踏み出せずにいる方も少なくありません。専門のIT担当者がいない中小企業や個人事業主にとって、この不安はなおさら大きいはずです。
この記事では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引きを参考に、ファイル共有で確認したい点を本記事独自の3つの観点に整理します。

取得資格
- SEO検定1級
- SEOマーケティングアドバイザー
2020年からブログを始めて、エンタメ系のジャンルは約1年で月間10,000PVほど。2021年にWebライターとして独立しSEOメディア運用ディレクターとして現在も活動中。田舎に戻りHP製作やSNS運用マーケティング支援なども対応。
なぜクラウドでのファイル共有にセキュリティ不安がつきまとうのか

紙の書類やUSBメモリでのやり取りと違い、クラウドストレージやファイル共有サービスは、インターネットを経由してデータをやり取りします。目に見える形でデータが手元にないため、「どこかから漏れてしまうのではないか」という漠然とした不安を感じやすくなります。
また、専門のIT担当者がいない事業者にとっては、「何を対策すればよいのか分からない」こと自体が、クラウド活用を踏みとどまらせる大きな理由になっています。
ファイル共有で点検したい3つの観点

IPAの手引きは、利用者の範囲、認証、バックアップなどを確認する15項目のチェックシートを掲載しています。本記事では、それらも参考にしながら、日々のファイル共有で点検しやすい次の3つの観点に整理しました。IPAの分類をそのまま引用したものではありません。
- 誤送信
- アクセス権限とログ
- 暗号化とバックアップ
以降の節では、この3つの観点を具体的な確認方法とあわせて解説します。サービス選定や契約条件も含めて点検したい場合は、IPAの公式案内から手引き全体を確認してください。
リスク領域①|誤送信を防ぐ

クラウドストレージでのファイル共有は、共有リンクを発行して相手に送るという操作が中心になります。この操作にはメールの誤送信と似たリスクがあり、次のような点に気をつける必要があります。
- 共有リンクを送る前に、宛先が正しいかを再確認する
- 共有範囲の設定(特定の人のみ共有できるのか、リンクを知っている全員が閲覧できるのか)を、送信のたびに確認する
特に「リンクを知っている全員が閲覧できる」設定のまま社外に共有してしまうと、意図しない範囲にファイルが広がってしまう可能性があります。共有設定を都度確認する習慣をつけることが、最も基本的な対策です。
リスク領域②|アクセス権限とログを管理する

誰が、どのファイルに、どこまでアクセスできるかを管理することも重要な観点です。次のような点を意識してください。
- 閲覧・編集の権限を、業務上必要な人だけに絞る
- 退職したスタッフや、契約が終了した取引先のアクセス権限を、放置せずに削除する
- 誰がいつファイルにアクセスしたかを確認できるログ機能があるかを確認しておく
権限を必要以上に広く設定したままにしておくと、意図しない人がファイルにアクセスできる状態が続いてしまいます。定期的に権限設定を見直すことをおすすめします。
リスク領域③|暗号化とバックアップを確認する

データそのものを守る観点として、次の2点も押さえておく必要があります。
- 通信時・保存時にデータが暗号化される仕組みに対応しているか
- 誤ってファイルを削除してしまった場合や、サービス側で障害が起きた場合に備えて、定期的にバックアップが取られているか
サービスの暗号化対応と、削除したデータを復元できる期間・方法を確認してください。同期や履歴機能があっても、必要なデータを必ず復旧できるとは限りません。重要なファイルは別の保存先にも確保し、実際に復元できるかを確かめておきましょう。
3つの観点で自社の使い方を点検してみる

ここまで紹介した3つの観点は、次のようなチェックリストとして使うことができます。
- 誤送信:共有リンクを送る前に、宛先と共有範囲を確認しているか
- アクセス権限とログ:不要になった人の権限を削除し、アクセスログを確認できる状態にしているか
- 暗号化とバックアップ:利用しているサービスの暗号化対応と、バックアップの仕組みを把握しているか
特別なシステム投資をしなくても、今使っているサービスの設定を見直すだけで対応できる項目が多くあります。まずは自社の現状を、この3つの観点で確認してみてください。
ファイル共有セキュリティに関するよくある質問

ここでは、ファイル共有セキュリティについてよくある疑問へ答えます。
- 無料プランのクラウドストレージでも安全に使えますか?
- 個人事業主でも対策は必要ですか?
- セキュリティ対策には費用がかかりますか?
- 無料プランのクラウドストレージでも安全に使えますか?
-
無料プランであっても、共有範囲の設定やアクセス権限の管理など、利用者側で気をつけられる対策は同じように行えます。まずはこの記事で紹介した3つの観点を確認してみてください。
- 個人事業主でも対策は必要ですか?
-
必要です。取引先の情報や契約書など、業務で扱うファイルには機密性の高いものが含まれます。事業規模にかかわらず、この記事で紹介した3つの観点を確認することをおすすめします。
- セキュリティ対策には費用がかかりますか?
-
この記事で紹介した対策の多くは、共有設定の見直しやアクセス権限の管理といった、追加費用のかからない範囲でできるものです。より高度な対策が必要かどうかは、扱う情報の重要度に応じて判断してください。
まとめ|まずは3つの観点で点検することから

クラウドストレージやファイル共有サービスのセキュリティは、専門的なシステム投資をしなくても、誤送信・アクセス権限とログ・暗号化とバックアップという3つの観点で、今の使い方を点検することから始められます。
まずは、自社が使っているサービスの共有設定を、この3つの観点で見直してみてください。DX全体の進め方は中小企業のDXは何から始める?で紹介しています。
