生成AIのリスクと仕事での対策|個人事業主・小規模事業者が最初に決めること

生成AIのリスクを4つに分けて理解する

生成AIのリスクは一つではなく、性質の異なる複数の種類があります。入力した情報が漏れるリスク、AIの回答が間違っているリスク、著作権など権利関係のリスク、会社や自分が把握していないところでAIが使われるリスクは、それぞれ原因も対策も違います。

「リスクがあるから使わない」と「気にせず使う」の間には、リスクの種類を知り、自分の使い方に当てはめて最低限の対策を決めるという選択肢があります。個人事業主・小規模事業者は、確認する担当者が自分一人、または数名しかいないことも多いため、最初から大規模な管理体制を目指すのではなく、扱う情報と確認工程を具体化するところから始めます。

この記事では、生成AIのリスクを4つに分けて整理し、個人事業主・小規模事業者がまず決めるべき3つのこと、それぞれのリスクへの最低限の対策を解説します。生成AIをどの領域で仕事に使うか自体で迷っている場合は、生成AIを仕事で活用する方法を先に確認してください。

執筆者(佐藤大地)
だいちゃん_素材

取得資格

  • SEO検定1級
  • SEOマーケティングアドバイザー

2020年からブログを始めて、エンタメ系のジャンルは約1年で月間10,000PVほど。2021年にWebライターとして独立しSEOメディア運用ディレクターとして現在も活動中。田舎に戻りHP製作やSNS運用マーケティング支援なども対応。

目次

生成AIのリスクを4つに分けて理解する

生成AIのリスクを4つに分けて理解する

経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」は、AIの利用に伴う偽情報・誤情報、プライバシー、セキュリティ、知的財産などのリスクを整理しています。AI事業者ガイドライン(第1.2版)|経済産業省・総務省

このうち、仕事で生成AIを使う個人事業主・小規模事業者に関係が深いリスクは、次の4つに整理できます。

種類何が起きるか主な原因
入力情報からの漏洩入力した個人情報・機密情報が意図せず外部に出るサービス・プランごとのデータ利用条件、共有設定のミス
出力の誤りもっともらしい誤った情報をそのまま使ってしまうハルシネーション、事実確認をしないまま使う運用
権利関係著作権侵害や利用規約違反にあたる既存著作物との類似性・依拠性、商用利用条件の未確認
管理が行き届かない利用組織が把握していないAIツールが業務で使われる従業員による未承認ツールの利用(シャドーAI)

4つのリスクは重なる場合もあります。たとえば、未承認のAIツール(管理が行き届かない利用)に機密情報を入力すれば、入力情報からの漏洩リスクも同時に高まります。

個人事業主・小規模事業者がまず決めるべき3つのこと

個人事業主・小規模事業者がまず決めるべき3つのこと

体制を大きく作る前に、次の3つを決めてください。

  1. 入力してよい情報を1つ決める
  2. 出力を確認するタイミングを決める
  3. 使っているAIツールを書き出す

入力してよい情報を1つ決める

すべての情報を判断基準なしに入力せず、まずは「顧客名は入力しない」のように、具体的な1つのルールから始めてください。ルールが具体的であるほど、日々の判断に迷いません。

出力を確認するタイミングを決める

確認担当者が自分しかいなくても、「送信・公開する前に必ず読み直す」という最終確認のタイミングだけは決めておいてください。確認する人がいないことと、確認する工程がないことは別の問題です。

使っているAIツールを書き出す

少人数のスタッフが業務で使っているAIツールがあれば、まとめて書き出してください。従業員が組織の承認や把握なしにAIサービスを業務利用している状態は、シャドーAIと呼ばれます。従業員がいない場合も、自分が使うツールとデータの扱いを一覧にすると、設定や規約を見直しやすくなります。

入力情報の漏洩を防ぐには

入力情報の漏洩を防ぐには

入力したデータの取り扱いは、生成AIサービスやプラン、設定によって異なります。利用規約やプライバシーポリシーを確認できない状態では、顧客名、連絡先、契約条件、社外秘の数値などを入力せず、必要な場合も仮名や一般化した表現へ置き換えてください。

チャットの共有機能を使う場合は、共有設定によって内容が外部から閲覧できる状態になっていないかも確認してください。便利な機能ほど、公開範囲の設定を見落としやすくなります。

入力してよい情報の判断基準や、誤って入力してしまった後の対応は、別記事で詳しく解説する予定です。

出力の誤りに気づくには

出力の誤りに気づくには

生成AIは、事実と異なる内容を、もっともらしい文章で回答することがあります。この現象はハルシネーションと呼ばれます。サービス側で改善が進んでも、利用者がすべての回答を正しいとみなせるわけではないため、用途に応じた確認工程が必要です。

出力をそのまま使わず、数字、固有名詞、法令や制度に関する記述は、自分で一次情報にあたって確認する習慣をつけてください。特に、顧客へ送る文章や公開する記事など、対外的に使う情報ほど確認の重みを増やします。

AIの出力を検証する具体的な手順は、別記事で詳しく解説する予定です。

著作権・商用利用で立ち止まるべきポイント

著作権・商用利用で立ち止まるべきポイント

生成AIで作った文章や画像を商用利用する場合、次の点は立ち止まって確認してください。

  • 特定の作品名や作者名を安易にプロンプトへ入れていないか
  • 生成された内容が、既存の有名なキャラクターや作品に似ていないか
  • 利用しているサービスの規約で、商用利用が許可されているか

文化庁の整理では、AI生成物の利用が著作権侵害にあたるかは、既存の著作物との類似性と依拠性の両方から判断されます。個別の事案がどちらに該当するかは本記事では判断せず、文化庁「AIと著作権について」や専門家の見解など、最新の情報を確認してください。

管理が行き届かないAI利用に気づくには|シャドーAIとは

管理が行き届かないAI利用に気づくには|シャドーAIとは

シャドーAIとは、組織が把握・承認していないAIツールを、従業員が業務で使っている状態を指します。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織編の3位に初選出され、その具体例としてシャドーAIが取り上げられています。情報セキュリティ10大脅威 2026|IPA

数名のスタッフを雇う小規模事業者でも、各自が個人の判断でAIツールを使い始めれば、経営者が把握しないまま情報漏洩や著作権のリスクが積み重なる可能性があります。対策の出発点は、禁止することではなく、まず「誰が、どのAIツールを、何に使っているか」を把握することです。

小規模事業者の立場から見たシャドーAIへの向き合い方は、別記事で詳しく解説する予定です。

最低限の社内ルールを1枚にまとめる

最低限の社内ルールを1枚にまとめる

個人事業主・小規模事業者でも、事業内容や扱う情報によって必要な管理の範囲は異なります。最初のたたき台として、まずは次の3項目をA4一枚程度の文章にまとめてください。

  1. 入力してはいけない情報
  2. 出力を確認する人とタイミング
  3. トラブルが起きたときの相談先・報告先

ルールは一度作って終わりにせず、使っているAIツールが増えたときや、トラブルが起きたときに見直してください。

生成AIのリスクに関するよくある質問

生成AIのリスクに関するよくある質問
無料版と有料版で、リスクの大きさは変わりますか?

料金だけではリスクの大きさを判断できません。入力データの利用条件、保存期間、共有設定、管理機能は、サービスやプランによって異なります。無料・有料を問わず、利用規約と設定を確認し、業務利用の可否を判断してください。

個人事業主でも社内ルールは必要ですか?

従業員がいなくても、自分自身の判断基準が曖昧なままだと、入力する情報や確認手順が案件ごとにばらつきます。少なくとも「入力しない情報」「公開前に確認する項目」を文章にしておくと、判断を揃えやすくなります。

リスクをゼロにすることはできますか?

すべてのリスクをゼロにできるとは限りません。ゼロを前提にするのではなく、影響が小さい作業から使い始め、入力制限や確認工程によって発生確率と影響を下げる考え方が現実的です。

どのリスクから対策すればよいですか?

自分の使い方に照らして、最も入力する機会が多い情報(顧客情報か、社内の数値かなど)から対策すると効果を実感しやすくなります。迷う場合は、本記事の「まず決めるべき3つのこと」から始めてください。

生成AIを仕事で使うこと自体をやめるべきですか?

多くの場合、その必要はありません。リスクを理解しないまま使うことと、リスクを理解したうえで最低限の対策をして使うことは別です。まずは影響が小さい作業から、確認する工程を残して試してください。

まとめ|生成AIのリスクは分類してから、1つずつ対策する

まとめ|生成AIのリスクは分類してから、1つずつ対策する

生成AIのリスクは、入力情報からの漏洩、出力の誤り、権利関係、管理が行き届かない利用の4つに分けて理解すると、何から対策すればよいかが見えてきます。

まずは、使っている生成AIツールを1つ書き出し、入力してはいけない情報を1つ決めてください。そのうえで、自分の業務に関係が深いリスクから、今後公開する詳しい記事を確認することをおすすめします。

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