Excelで顧客名簿を管理してきたが、そろそろ限界かもしれない。件数が増えて重くなってきた、複数人で触れない、誰がいつ更新したか分からない——そう感じ始めている方に向けた記事です。
結論から言うと、「何件を超えたら限界」という基準はありません。判断材料になるのは、重い・同時に触れない・履歴が残らない・入力がばらつく、という4つのサインです。

取得資格
- SEO検定1級
- SEOマーケティングアドバイザー
2020年からブログを始めて、エンタメ系のジャンルは約1年で月間10,000PVほど。2021年にWebライターとして独立しSEOメディア運用ディレクターとして現在も活動中。田舎に戻りHP製作やSNS運用マーケティング支援なども対応。
「何件から限界」という基準はない

顧客が何件になったらExcelを卒業すべきか、という質問をよく見かけますが、件数は目安になりません。
数百件あっても問題なく回っている事業者もいれば、数十件でも回らなくなっている事業者もいます。分かれ目は件数ではなく、その名簿を何人が、どんな頻度で、何のために触るかです。1人が月に数回見るだけなら当分困りませんが、複数人が毎日更新するなら、件数が少なくても早い段階で限界が来ます。
限界を示す4つのサイン

次の4つのうち、2つ以上当てはまるなら、移行を検討し始める時期です。
| サイン | 具体的な状態 |
|---|---|
| ①動作が重い | 開くのに時間がかかる、スクロールがもたつく |
| ②同時に触れない | 誰かが開いていると編集できず、作業が止まる |
| ③履歴が残らない | いつ誰が何を変更したか分からない |
| ④入力がばらつく | 同じ会社名が複数の表記で登録されている |
以降で、それぞれが何を意味するのかを説明します。
サイン①|開くのに時間がかかる、動作が重い

重くなる原因は件数だけではありません。長年使ううちに積み重なった書式、大量の数式、不要になった列なども影響します。
ただし、本当の問題は重さそのものではありません。重さを避けるためにファイルを分け始めることです。「今年の分」「昨年の分」「A支店用」と分かれた瞬間に、一元管理という目的が失われます。顧客情報が複数の場所に散らばると、どれが最新か分からなくなり、管理表としての信頼性が落ちます。
サイン②|複数人が同時に触れない

顧客情報は、複数人が同時に参照・更新したくなる典型的なデータです。営業担当が外出先から確認したい、事務担当が同時に入力したい、という場面が日常的に発生します。
Excelを共有フォルダで運用していると、誰か1人が開いている間は他の人が編集できません。この状態が常態化しているなら、限界のサインです。この症状そのものへの対処は、共有のExcelが開けない理由と対処で解説しています。
サイン③|いつ誰が何を変えたか分からない

顧客管理では、「前回いつ、誰が、何を話したか」という記録そのものが資産になります。
しかしExcelでは、セルを上書きすると前の内容は消えます。誰が変更したかも残りません。「担当者が変わったら、それまでの経緯が分からなくなった」という状態は、顧客管理の目的そのものを損ないます。履歴が必要な業務であれば、これは件数に関係なく限界のサインです。
サイン④|入力の仕方が人によってばらつく

同じ会社が「株式会社〇〇」「(株)〇〇」「〇〇」と複数の書き方で登録されている。自由記述欄に何を書くかが人によって違う。こうした状態になると、検索や抽出ができなくなります。
名簿は、探せてこそ意味があります。探せない名簿は、実質的に管理できていない状態です。入力規則(プルダウン)である程度は防げますが、項目が増えるほど表計算だけで統一を保つのは難しくなります。
移行先の3つの選択肢

移るとしたら、選択肢は大きく3つです。製品名ではなく、型として整理します。
- 表計算のまま整える — 同時編集できる形へ移し、入力規則で表記を統一する。費用をかけずに済み、サイン②④には効果がある。履歴や複雑な権限管理が必要なら力不足
- 既製の専用ツールを使う — 顧客管理に必要な機能が最初から揃っている。自社の業務がツールの想定に近ければ最短。合わない部分は業務側を寄せる必要がある
- 自社の業務に合わせて作る — 既製ツールが業務に合わない場合の選択肢。自由度は高いが、作る手間と、作った後に誰が面倒を見るかという問題が残る
選択肢1の判断は、ExcelとGoogleスプレッドシートの違いも参考にしてください。
「作る」という選択肢について

3つ目の「作る」は、中小企業にとって現実味がないように思われがちですが、必ずしもそうではありません。
1stWritingを運営する佐藤は、クラウドツール(Kintone)を使い、エンジニアと連携して顧客管理システムを開発した経験があります。ゼロからプログラムを書くのではなく、土台となるツールの上に自社の業務に合わせた形を作る、という進め方です。
既製ツールを試したが自社の業務に合わない、かといって表計算では限界、という状態であれば、選択肢として検討する価値はあります。ただし、作った後に誰が維持するのかを決めずに進めると、次は「その仕組みが属人化する」という別の問題を抱えることになります。運用方法と変更手順を記録し、担当者が変わっても引き継げる状態にしておきましょう。
移行するときに必ず決めておくこと

どの選択肢を取る場合でも、移す前に次の3点を決めておいてください。
- 誰がどこまで見られるか — 顧客情報は個人情報にあたります。全員が全件を見られる状態でよいかを検討する
- 過去データをどこまで移すか — 全件移すのか、直近だけにするのか。古いデータの移行に時間をかけすぎない
- 移行中の二重管理をどう避けるか — 新旧両方に入力する期間が長引くと、現場が疲弊して元に戻ります
個人情報を含むデータをクラウドで扱う際の注意点は、中小企業のファイル共有セキュリティで解説しています。
顧客管理のエクセル限界に関するよくある質問

ここでは、顧客管理の移行についてよくある疑問へ答えます。
- 費用はどのくらいかかりますか?
- 移行に失敗しないか不安です
- 今すぐ移らなくても大丈夫ですか?
- 費用はどのくらいかかりますか?
-
選択肢によって大きく異なります。表計算のまま整える方法であれば、追加費用なしで対応できる場合もあります。専用ツールや自社開発を検討する段階で、初めて費用の比較が必要になります。
- 移行に失敗しないか不安です
-
失敗の多くは、機能の選定ミスではなく、移行中の二重管理が長引くことで起きます。切り替え日を決め、その日以降は新しい方だけを使うと決めておくことが有効です。
- 今すぐ移らなくても大丈夫ですか?
-
4つのサインのうち当てはまるのが1つだけであれば、急ぐ必要はありません。ただし、サイン③(履歴が残らない)に当てはまる場合は、失われた記録は後から取り戻せないため、優先度を上げて検討することをおすすめします。
まとめ|2つ以上当てはまったら検討を始める

顧客管理をExcelから移すべきかは、件数ではなく、重い・同時に触れない・履歴が残らない・入力がばらつく、という4つのサインで判断できます。2つ以上当てはまるなら、検討を始める時期です。
このとき、何を使うかを先に決めようとしないでください。何に困っているかを言語化する方が先です。困りごとが明確になれば、選択肢は自然に絞られます。
自社の状況を整理したうえで、どう進めるか一緒に考えたい場合は、個別のご相談もご利用ください。仕組みで解決するという発想については、中小企業のDXは何から始める?も参考になります。
